アブストラクト
題目
極低温の極性分子の衝突特性(蒸発冷却は可能か?)
講演者
梶田雅稔氏(通信総合研究所)
日時
2004年4月7日(水)午後3時より
場所
日大理工・船橋校舎・1号館3階131B室
要旨
原子のレーザー冷却技術が開発されてから、極低温原子を用いてさまざ まな量子効果が観測された(ボーズ凝縮、フェルミ縮退等)。同じよう に分子、特に極性分子を用いてボーズ凝縮等の現象を観測できると、分 子間相互作用は長距離力で、非等方性を持つ双極子ー双極子相互作用で 表されるので原子の場合とまったく異なる特性を持つと考えられる。 分子のレーザー冷却は困難であるが、不均一電場等でトラップした後蒸 発冷却を行なうことで極低温まで冷却することは可能と考えられる。し かしそのためには衝突損失断面積の弾性衝突断面積に比べて十分小さい ことが必要である。
今回は極性分子がDC不均一電場でトラップされたときの衝突特性を解 説する。極低温領域におけるボソン同位体は温度が下がるにつれて衝突 損失断面積が上がるので安定なトラップは困難である。逆にフェルミオ ン同位体は温度が下がるにつれて衝突損失断面積は下がるので安定にト ラップできるし、弾性衝突断面積は双極子ー双極子相互作用を考える範 囲ではボゾン同位体よりも大きいので蒸発冷却にも有利である。これは 双極子ー双極子相互作用が長距離で働く上に、非等方性を持つことに由 来する。
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