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基礎教育


 周知のように、現代社会は高度な科学技術に支えられている。現代の社会生活・産業活動には、幅広い分野の知識、思考方法が求められる。この傾向はますます拡 大するであろう。科学技術の分野においては、 研究・開発における一層の高度化、そしてオリジナリティの要請がある。また一方では、情報化という大きな波が急速に成長している。このような科学技術の進 歩に適う、理工学教育の不断の改善が行われなければならない。この場合、オリジナリティは、実用化・効率などとは必ずしも同一方向にはないものであることを考慮する必要があろう。

 理工系の教養・基礎教育において行われている基礎物理学の知識、法則、思考法は、科学と技術の研究開発の歴史を見れば明らかなように、その中にしっかりと根 を下ろしており、その有用性は広く認められている。しかし、 科学技術の急速な進展のなかで、この基礎教育は短縮あるいは軽視される傾向が現れているように思われる。

 基礎教育は単に開発・設計に有効であるか否かという実用的な観点だけで評価されて良いものであろうか。本来、物理学などは我々の興味、知的探求心、願望あるいは根元的なものを求める極めて人間的なものから生まれたということを忘れてはならないであろう。技術も同様であろう。いま改めて重要視されていることは、良いものを生む「人」 の活力を育てることである。したがって、広い視野に立って、基礎教育の役割を考える必要があろう。


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